08/15
【北海道夕張市】RE START!夕張
ふるさと納税制度を引っ張ってこられた鳥取県米子市の大江さんからバトンをいただき、大変光栄です。
夕張市企画課の佐近と申します。平成28年度から現在までふるさと納税の担当をしています。
夕張市は、全国の中でもふるさと納税制度で最も支えられてきた自治体の一つです。
夕張と聞くと、「夕張メロン」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。熟すまでに時間が短いため、返礼品としての取扱いがとっても難しいのですが、完熟のとろける甘さは人生で一度はお試しいただきたいです!
夕張は炭鉱まちとして発展し、観光産業に力を入れましたが、急激な人口減少とハードに依存した行政運営で財政が悪化し、財政破綻を経験しました。
僕が市役所に入ったのは、財政の立て直しを進める5年目のとき。破綻から市を支えてきた先輩職員は疲弊しており、市役所には住民から声があがってきても対応することができない閉塞感が蔓延していました。
住民からの声に耳を傾けられない、削減のみの行政運営を強いられるということは、市職員として最も苦しいことです。そうした状況に耐えられず、先輩が、同期が、後輩が次々と辞めていきました。
そんな背中を見送るたびに、「これから、どうなっていくんだろう」と、言いようのない恐怖に襲われました。僕たちは辞めることができる。でも、ここで逃げたら、住んでいる人たちの暮らしをいったい誰が守るんだろう。
そんなとき、あるイベント会場で、夕張高校の生徒がこんなことをつぶやいたのを耳にしました。
「財政破綻は、もういい。」
生徒会長であった二階堂さん(現夕張市役所)は、「夕張を言い訳にするのではなく、夕張だから、夕張高校だから、何ができるのかに挑戦していきたい!」と力強く話していました。
夕張高校は市内唯一の高校で、全校生徒70名弱の小さな学校ですが、拠点施設の検討委員としてまちづくりに参画したり、みんなが利用しやすい交通拠点のあり方を提案して実現したり、選手が揃わずに連合チームを組んでいる野球部が甲子園出場チームにあと一歩まで迫るなど、生徒の前向きな取り組みが、地域を盛り上げています。
そして、こうした高校生のチャレンジが、閉塞感が漂っていた夕張市の雰囲気を変えていきました。
こんな、地域を変える高校生のチャレンジ環境をつくりたい!
夢やチャレンジがないところに人は育たない。削減のみの行政運営のなかで感じていたことです。子どもたちが夢を持てるまちにしたいと思いました。
その想いで、昨年度、ガバメントクラウドファンディングに挑戦しました。
トラストバンク様には、文言の一字一句までアドバイスをいただき、多大なご支援をいただきました。
その結果、地域課題を吹き飛ばしてしまうような高校生のチャレンジのために、全国から目標額の3倍を超える寄附が集まりました。
これでチャレンジできる! 本当に、涙が出る思いでした。
こちらの寄附を活用させていただき、まず取り組んでいるのが、公設塾「夕張学舎キセキノ」の運営です。
ここでは、生徒が自主的に取り組む勉強に対して、個別学習指導を行います。
著名な企業の方を招いて社会のことを学んだり、市と連携してまちづくりに参画したり、将来のための研究として視察に行ったり、海外の学生と遠隔交流したりと、夕張をフィールドに、多様な学びを得る場としたいと思っています。
夕張市は、「RE START!Challenge More!」のスローガンを掲げ、財政再建(守り)だけではなく、地域再生(攻め)も同時に進めるという、新たなまちづくりの一歩を踏み出しています。
この新しいチャレンジは、ふるさと納税として全国からのご支援がなければ、決して踏み出せなかった一歩です。様々な方の想いを受け、夕張市は立ち上がることができました。
いまでも、足がすくむことは多いです。でも、全国の皆様からの応援があるから、前を向けるし、一歩を踏み出すことができます。感謝の気持ちを全国の皆様にお返しできる日を目指し、私たちは進んでいきます。
次のバトンは、山梨県富士吉田市の長坂僚太さんに繋ぎます。まだお会いしたことはありませんが、夕張市と同様に西日本豪雨災害の代理寄附を行っておられます。長坂さん、よろしくお願いいたします!
▼北海道夕張市のページ
https://www.furusato-tax.jp/city/product/01209
▼ガバメントクラウドファンディングページ
夕張高校は絶対になくさない!日本が直面する課題を学ぶフィールドとなるために。
~夕張高校魅力化プロジェクト~
https://www.furusato-tax.jp/gcf/187